門前薬局の薬剤師に求められる力で最も大切なのは、患者さまと向き合うことのできる力ではないかと思います。薬局を選ぶのは、患者さまです。患者さまは、どの薬局に処方箋を持っていってもいいわけですから。そこで、重要になってくるのが、患者さまとのコミュニケーション。病気と闘う患者さまとそのご家族は、門前薬局をただ単に薬をもらう場所としてだけではなく、実は“和みの場”であってほしいと思っているのではないかと感じています。患者さまの言葉に耳を傾け、さりげない思いやりの言葉を返す。そうすると患者さまはおのずと足を運んでくれるのです。担当した薬剤師が気に入れば、「あの人に処方してほしい」と言ってくださるように。患者さまから選ばれる薬剤師、それこそが、今求められている姿なのではないかと思います。

薬局には多くの方が訪れ、毎日ドラマのような出来事が繰り広げられています。混雑時に処方が遅いと苦情を言う方もいらっしゃいますが、真摯に対応すれば、「この前は、すまなかった」とまた来店してくれるのです。そうした患者さまと向き合う薬剤師としての姿勢を、スタッフに背中で感じてもらえるよう、私自身も患者さまをまるで家族のように思って接するようにしています。